かわうそのまつり2011/10/22

飛行場から重い足取りで家路につくと、500m手前のところに赤提灯が見えた。知り合いのやっている立ち飲みで、店の人と目と目が合ったら鬼門である。

建屋にそぐわないちゃんとした板さんがいて、自家製の糠漬け、一から手作りの厚揚げ、御造りも出る。かつて同じ保育園に子どもを送り迎えしていたことはお互いに言わない。保育園というところは、乳幼児を通じて親の素性や人となりが丸裸にされてしまう場なのである。

オーナーは、この辺の人ではない。ちょっとバブルな匂いのする人で、立ち飲みなのに高い日本酒ばかりを集め、冷蔵庫にたくさん仕舞い込んでいる。

一番の自慢は「獺祭(だっさい)」の高級そうなやつで、コレ一杯8000円ネ!とおっしゃる。さすがにそれは開けないが、終電がなくなり夜半も過ぎるとビア樽が空くことは稀ではない。

でも、今日は比較的早めに店を出る。
寝静まった家に帰って冷蔵庫野菜室を開けると、そこにはK-momが山口から持ってきてくださった私の「獺祭」が。「日本酒のワイン」と呼ばれるばかりでなく、文学にもゆかりの深い名の酒である。




そして、母が山口から持ってきた中島の雲丹をどっかの海苔にのせて、好きな本を片手に、静々と杯を傾けはじめる。いつしか獺祭魚となり、言葉の川の中を泳いでいる。

         ○       ○       ○       ○

というわけで、わざわざクールでお送りいただき、本当にありがとうございます。K26君のご退院おめでとうございます。来月の中旬あたり、山口でお会いしましょう。

I兄とM兄とわたし2011/10/22

ある日突然、遠方に住むI先輩から連絡をいただいた。

次の夜、恵比寿で待ち合わせ、渋谷川方向の、「鮨 ○○」と看板のある2階へ。
磨き上げられたカウンター、抽象的でモノトーンを基調に優しげな配色が施された心落ち着く空間で、右にも正面にもタイトに引き締まった男前が、いた。

こりゃやられたね、八っつあん。
姐さんびっくりして声もでやしねえや。

そして、目を落とすと艶やかなネタの詰まった宝石箱が、あった。
これぞ、花と団子の葛藤なのでした。

どれもとびきり上等でした。キャビア、蒸しアワビ、マツタケといった高級食材はもちろん、塩で臭みを抜き、ちょいと火あぶりにした旬の秋刀魚は絶品でしたね。赤貝のこりこりした海の香。そして終盤、炙った香ばしい鮪をシャリに乗せ、のりでぐるっと一巻き、はいっと素敵な笑顔とともにレディーファーストで手渡し...これをいただいたのは別腹(リザーブタンク)その1。あがりとわらび餅はその2。


それから、まだまだお仕事中のM先輩の会社の前にタクシーを乗りつけ...20年ぶり?に正面玄関前でご対面。
立ち会えた私も感動。カメラ持ってくればよかった。

それだけブランクがあっても、すぐ「見た目は大人、頭脳は高校生」状態。
最寄の沖縄居酒屋で、閉店まで、階段下の特設テーブルに着地。

普段からエネルギー消費量の少ない私のリザーブはもうアルコール飲料しか受け付けませんでしたが、先輩のはどんだけ大きいんだ?ぱくぱく食べてました。

M先輩は相変わらずの語り口でしたが、バリバリの仕事人ぶりで、その後会社に戻って夜の2時まで仕事して帰ったのだとか。


三人姉妹の長女は、兄が欲しいと常々ないものねだりをしておりました。
山口の兄に対しては永遠にブラコンです。また、お会いしましょう。お会いするときは、楽しいときを過ごしましょう。